入社・異動・役割の就任などのオンボーディングは事前に始まっている
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
入社・異動・役割の就任など、新たな環境・役割に適応するためにはオンボーディングが必要です。
そして、オンボーディングに必要な要素はオンボーディング本番だけで完結するわけではなく、オンボーディングをする前から適応過程は始まっています。
この記事では、オンボーディング前に適応に影響を与える「予期的社会化」についてまとめます。
予期的社会化とは?
予期的社会化 (Anticipatory Socialization)は、個人が新しい環境や役割や地位に移行する前に、その環境や役割や地位に関連する期待や行動を学習し、準備するプロセスを指します。
予期的社会化の役割
適応の準備
新しい職務や地位、コミュニティなどにおいて期待される行動や態度を事前に学び、適応するための準備を行います。
- 例 - 新しい仕事に就く前に、その職場の文化や求められるスキルについて学ぶこと
心理的準備
新しい環境や役割に対する心理的な準備を行い、ストレスや不安を軽減します。
- 例 - 新しい役職に昇進する前に、リーダーシップ研修に参加し、リーダーとしての自信を高めること
期待の理解
新しい役割に関連する期待や規範を理解し、それに沿った行動を取ることで、スムーズな移行を目指します。
- 例 - 大学生が卒業前にインターンシップに参加し、職場での行動やプロフェッショナリズムを学ぶこと
それぞれの予期的社会化
それぞれの状況ごとに必要となる予期的社会化について紹介します。
以降の記載は「新しい環境や役割に適応する本人」の目線で記載しますが、本人がそれぞれの予期的社会化の取り組みをするためには受け入れ側が適応を促す仕組みや文書を整備する必要があります。
入社における予期的社会化
入社における予期的社会化には以下のようなものがあります。
- 採用広報として発信されている情報で会社や業務のことを知る
- 希望する会社の社員と交流することで、会社の雰囲気を知ったり、つながりを作る
- 選考過程でより多くの未来の同僚と会話することで「見知った相手」が増えた状態で入社する
- 選考過程でオフィス見学をする
- 内定受諾後〜入社までの期間に業務で必要な知識を確認し、予習する
- 内定受諾後〜入社までの期間が長い場合に、コミュニケーションの機会を用意する
人事異動における予期的社会化
人事異動における予期的社会化には以下のようなものがあります。
- 異動先に関する情報を確認する
- 異動先のMissoin, Vision, Valueや評価基準について事前に把握する
- 異動先の上司や同僚と事前に交流する
- 異動先で必要になる知識を確認し、予習する
- 短期社内留学制度などで、異動前に異動先の業務を経験する
- 異動先の関係者が関わる部門横断タスクフォースを通して一緒に仕事をする
役割の就任における予期的社会化
新しい役割における予期的社会化には以下のようなものがあります。
- 新しい役割に関する情報を確認する
- 就任予定の役割を担っている既存の担当者に業務を教えてもらう
- 就任予定の役割を担っている既存の担当者の業務を観察する
- 新しい役割に必要となるトレーニングを事前に受ける
- 新しい役割の一部を切り出して事前に小さく経験する
まとめ
オンボーディング前に適応に影響を与える「予期的社会化」についてまとめました。
変化への適応力は人によって異なります。また、適応が上手い人でも適応に向けた支援があるのとないのでは適応しやすさや、適応速度が変わりませす。新しい環境に踏み出す人が適用しやすくなるように、環境が変わる前段階から変化に適応できるような土台を整備し、また、環境を変える本人にも事前に変化への準備を促せるようにしましょう。